ガイダンス記事

人材採用における福利厚生の重要性

実は人材採用と福利厚生には、とても密接な関係があります。

優秀な人材をできるだけ多く採用したい、というように思っている会社は、福利厚生を見直すことが有効な戦略と言えます。

人材採用において、福利厚生がどのような役割を担っているか、どのように福利厚生を整えれば優秀な人材が集まるのか、について様々なデータを基に考察します.

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求職者から見た福利厚生

まず最初にご覧いただきたいのは、株式会社リクルートキャリアの研究機関である、就職みらい研究所が2018年12月1日時点で民間企業への就職が確定している大学生を対象に行った、「就職プロセス調査」の以下の質問です。

「就職先を確定する際に決め手になった項目」

こちらを見てみると、なんと2位に「福利厚生(住宅手当等)や手当が充実している」という項目が上がっています。

就職みらい研究所 「就職プロセス調査」 「就職先を確定する際に決め手になった項目」 

「会社や業界の安定性」や、「理念やビジョンへの共感」といった項目よりも上位になっていることから、新卒者は就職に当たって、福利厚生の充実を大変重視していることがわかります。

求職者が、安定している会社や業界で、長く働くことよりも、またその会社の理念、ビジョンよりも福利厚生の充実を重視しているということがわかりましたが、それはいったいどういうことでしょうか。

以下、その内容について詳しく見ていきます。

ワークライフバランスの観点

最近では、ワークライフバランスの考えが浸透しており、仕事とプライベート(私生活)のどちらも充実させたいといった人が増えています。

肌感覚でもわかるかもしれませんが、以下にデータをご紹介します。

内閣府の「就労等に関する若者の意識」の「仕事と家庭・プライベートとのバランス」で、調査対象者に対して、以下のような質問を行いました。

「あなたは、仕事と家庭・プライベート(私生活)のどちらを大切にしたいですか。」

この問いに対し、「仕事よりも家庭・プライベート(私生活)を優先する」と回答した人が平成29年度調査では63.7%であり、過半数以上がプライベートを優先するという結果になっています。

そして「どちらともいえない」と答えた人が23.6%おり、先ほどの数字とあわせると全体の87.3%の人は仕事優先ではないことがわかります。

またここからさかのぼった平成23年度調査では、「仕事よりも家庭・プライベート(私生活)を優先する」と回答した人が52.9%、「どちらともいえない」が29.9%でしたので、仕事よりもプライベートを優先させたいと考える人がここ近年でも増えていることがわかります。

内閣府:就労等に関する若者の意識 「あなたは、仕事と家庭・プライベート(私生活)のどちらを大切にしたいですか。」

上記の結果から、プライベートの充実を求める人が増えていることがわかりますが、それと同じ調査の別の質問も見てみましょう。

「あなたは、主として、何のために仕事をするのですか。」

この問いに対しては、84.6%という圧倒的大多数が「収入を得るため」と回答しています。

内閣府:就労等に関する若者の意識 「あなたは、主として、何のために仕事をするのですか。」

つまり、

収入を得るためには働く必要があるが、

その中でも家庭・プライベート(私生活)を優先できる職場を選びたい、

と考えている人が多数ということがわかります。

転職への抵抗のなさ

内閣府の「就労等に関する若者の意識」の中にこんな質問がありました。

「転職については、様々な考え方があります。あなたの考えに最も近いものを選んでください。」

この問いに対して、「転職は絶対にすべきでない・転職はできる限りしない方がよい」と答えた人は、全体で17.3%しかおらず、ほとんどの人が転職について抵抗がないことがわかります。

内閣府:就労等に関する若者の意識 「転職については、様々な考え方があります。あなたの考えに最も近いものを選んでください。」

加えて、独立行政法人労働政策研究・研修機構(JILPT)が行った調査も見てみましょう。

新卒3年以内に離職した人に対して質問した、

「初めての正社員勤務先を離職した理由」の結果ですが、以下のような回答でした。

【男性】

1位:労働時間・休日・休暇の条件がよくなかったため

2位:自分がやりたい仕事は異なる内容だったため

2位(同ポイント):肉体的、精神的に健康を損ねたため

3位:人間関係がよくなかったため

【女性】

1位:肉体的、精神的に健康を損ねたため

2位:労働時間・休日・休暇の条件がよくなかったため

3位:人間関係がよくなかったため

となっており、男女ともに職場環境の中でも健康面と、労働時間・休日・休暇・仕事内容・人間関係といった職番環境が原因での離職が多いことがわかります。

独立行政法人労働政策研究・研修機構 「初めての正社員勤務先を離職した理由」

つまり、

健康面での問題や、

職場環境が自分にとって合わない(よくない)と考えると、

離職(転職)をしてしまう人が多数いる、

ということが言えるのではないでしょうか。

余談ではありますが、今いる従業員が自社で働くことに対してどのように考えているのか、ちゃんと把握することも離職防止の観点を含めてとても重要です。

以下の記事も参考にしてください。

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人材採用で成功するための福利厚生

人材採用における近年のポイントとして、

  • 福利厚生が充実している会社は選ばれやすい
  • 仕事よりも家庭・プライベート(私生活)を充実させたいといった人が増えている
  • 転職への抵抗がある人は少なく、健康面での問題や、職場環境が自分にとって合わない(よくない)と考えると、離職(転職)をしてしまう

といった面が見えてきました。

では、上記の調査データなどを基に、企業が人材採用で良質な人材を確保するために取るべき戦略は何でしょうか。

福利厚生が充実している会社は選ばれやすい

福利厚生を充実させ、それをアピールすることで、貴社を志望する人が増えるでしょう。

ただしやみくもにコストをかけて、福利厚生を充実させることはお勧めできません。

自社の求める人物像を明確にして、その人たちが望む形の福利厚生を整えることが重要です。

仕事よりも家庭・プライベート(私生活)を充実させたいといった人が増えている

家庭・プライベート(私生活)が充実するにはどのようにすべきでしょうか。

例えば休暇が取りやすくなる仕組みの導入などが考えられます。

介護のとある法人では、有給休暇取得義務化に伴い、年に2回、6日以上の“連続”での有給休暇取得を従業員に義務づけるとともに、それをした職員に対し、さらに2日の有給を付与する、といった取り組みをしています。

この法人では、制度導入後、離職率がとても下がり、選ばれる企業となっています。

転職への抵抗がある人は少なく、健康面での問題や、職場環境が自分にとって合わない(よくない)と考えると、離職(転職)をしてしまう

健康面への配慮(病気にならない、病気になっても無理なく働き続けられる仕組み)は大前提として、さらに踏み込んだ、「この会社で働くと、より健康になる」といったイメージを打ち出せれば強いと思います。

また職場環境(労働時間・休日・休暇・仕事内容・人間関係)については、業種や業務内容によっては制約もありますが、なるべく多様な働き方が選べたり、自分の裁量でできる業務を増やすなどで、解決できることもあるのではないでしょうか。

こういったことに取り組むことで、自社での離職者が減ることはもちろん、他社からの転職者へ対しての強いアピールになりますし、もちろん新卒者への対策にもなります。

最後に

人材採用と福利厚生には、とても密接な関係があることがお分かりいただけたと思います。

様々なデータから見えてくるのは、「働きやすい職場で働きたい」といったニーズでしょうか。

優秀な人材を獲得するために、多額の給与を出すことも一つかもしれませんが、高給激務では長く続く人財にすることは難しいのも現実。

優秀な人材を獲得し、ずっと続けてもらえる会社になるためにも、福利厚生を整えることを意識するのはとても大切です。

福利厚生ラボでは今後も、様々な福利厚生に関する情報や、各社での取り組みなどをご紹介してまいります。

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